はじめに
ある日突然、運営しているサイトにアクセスできなくなった…。そんな経験はありませんか?
私もつい先日、自分の運営するサービス「file-bin.com」が突然アクセス不能になり、Google Chrome上で「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」という見慣れないエラーメッセージが表示されてしまいました。
今回は、実際にこの問題に直面した体験をもとに、エラーの原因調査から解決までの流れを詳しくまとめてみます。同様の問題に悩む方のお役に立てば幸いです。
「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」とは?
このエラーは、簡単に言うと「ブラウザが指定されたドメインのIPアドレスをDNSで解決できなかった」ことを意味します。
主な原因:
- ドメイン名のタイプミス
- ドメインのDNS設定ミス
- DNSキャッシュの影響
- DNSサーバーの問題
- ドメインが存在しない(期限切れなど)
この中でも、今回私が直面したケースは「ドメインが一時停止されたことによるDNSレコードの無効化」でした。
問題発生の経緯
私が運営しているサービス「file-bin.com」は、AWS Amplify を使ってホスティングしており、Route 53 を使ってドメインを購入し、DNSレコードの管理も一元化しています。
ある日、ヘルスチェッカー(Route 53 の監視機能)から世界中のリージョンで「Failure: DNS resolution failed: Rcode NXDomain(3)」というステータスが出ているのを発見。
Chromeでは「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」と表示され、完全にアクセス不能な状態になっていました。
調査開始
DNS関連のトラブルを疑い、まずは以下を確認しました。
1. Route 53 のホストゾーン設定確認
- Aレコード、NSレコードが正しく設定されていることを確認
- CloudFront 経由で配信する構成で Aレコードの値も問題なし
2. DNS名前解決の確認(PowerShell)
Resolve-DnsName file-bin.com -Type NS Resolve-DnsName file-bin.com -Type A Resolve-DnsName file-bin.com -Type TXT
いずれも DNS 名前が見つかりません
と返ってきてしまいました。
3. WHOIS情報の確認
https://who.is/ で file-bin.com
を検索すると、ステータスに clientHold
の記載が…!
原因判明:ドメイン確認メールを放置していた
なんと、Route 53でドメインを購入した際に送信される「登録者確認メール(Verification Email)」に対応しておらず、期限切れになっていたことが原因でした。
このメールに対応しないと、ICANNの規則により、ドメインが clientHold
状態にされ、DNS解決ができなくなってしまうのです。
実際にこの状態になると、DNSサーバーに NSレコードすら返されなくなり、完全に「存在しないドメイン」として扱われてしまいます。
解決手順
以下の手順で問題を解決しました。
Step 1: Route 53 の「ドメイン」セクションを開く
- 該当のドメイン
file-bin.com
を選択 - 「ドメインの確認」セクションでメールの再送信が可能
Step 2: メール内のリンクをクリックして認証
- 登録メールアドレスに届いている確認メールを開き、指示に従ってクリック
- 数分後には
clientHold
状態が解除
Step 3: DNS名前解決が回復したことを確認
Resolve-DnsName file-bin.com -Type A
無事に CloudFront の IP アドレスが返ってくるようになりました!
再発防止のために
このようなトラブルを未然に防ぐために、以下の対策をおすすめします:
✅ 登録者確認メールには必ず対応
ドメイン購入直後はメールを見逃さないようにしましょう。
✅ Route 53「ドメイン」セクションを定期チェック
状態に「pendingVerification」などの警告が出ていたら早急に対応。
✅ whois で定期的にステータスを確認
clientHold
や serverHold
と表示されたら要注意。
✅ DNSエラー時は Resolve-DnsName
や nslookup
で即確認
早期発見・早期復旧がカギです。
おわりに
「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」は見慣れないエラーかもしれませんが、原因がはっきりすれば落ち着いて対応できます。
私の場合、確認メールを見落とすという非常にシンプルな理由で、サービスが一時的に停止してしまいました。同じような構成(AWS Amplify + Route 53)を利用している方は特にご注意ください。
この体験談が、あなたのトラブルシューティングの一助となれば幸いです。
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