軽症と言われるうつ病でも、じつはこんなにしんどいんです

こんにちは!
今日は「軽症と言われるうつ病でも、じつはこんなにしんどいんです」というテーマで、私自身の体験をまとめてみようと思います。ネットには「1日中ベッドから起き上がれない」「入院した」など重症例の記事がたくさんありますが、私はそこまでの症状ではありませんでした。それでも合計6か月の休職を経験し、日常生活が大きく揺らいだのは事実です。「軽症=たいしたことない」と片づけられてしまいがちなこの葛藤を、少しでも可視化できればうれしいです。


きっかけ——小さなストレスが雪だるま式に

うつ病は「ストレスが一定量を超えたときに発症する」とよく言われます。
もともと私は趣味が少なく、ストレス発散が得意ではありませんでした。そこへ追い打ちをかけたのがコロナ禍です。

  • マスク警察との遭遇
    品薄で手に入らなかったマスクをしていなかったところ、見知らぬ人に動画を撮られながら尋問される──そんな出来事が強烈な不安の種になりました。
  • 在宅勤務100%への急転換
    以前は毎日出社していたため、家賃の安さ重視で選んだアパート。ところがバス通りに面しており、終日鳴り響くエンジン音がテレワークには致命的でした。
  • 情報の洪水
    連日流れる「重症者数」「変異株」というネガティブニュース。心配性の性格も相まって、テレビをつけるだけで心拍数が跳ね上がるようになりました。

こうした小さなストレスが積もり積もって、気づけば雪だるまのように大きく膨れ上がっていたのです。


症状——「日本語が読めない」という衝撃

朝がつらい

最初に感じた異変は、とにかく朝起きられないことでした。始業に間に合わない日が増え、「自分はだらしないだけだ」と責めながら、無理やりパソコンに向かう毎日です。

日本語ドキュメントが頭に入らない

ある日の昼休み、社内資料を読もうとして愕然としました。
文字が「形」としては見えるのに、「意味」がまるで入ってこない。集中力が切れているというより、言語を理解する回路自体がオフラインになったような感覚でした。脳が文章処理と文字認識を別々に担当していることを、身体で思い知った瞬間です。

無重力の散歩

仕事にならず午後休を取った帰り道、コンビニまで歩くだけで「自分を空中から見下ろしている」錯覚に襲われました。景色がセピア色に染まり、現実感が遠のく――俗に“離人感”と呼ばれる症状です。

感覚の変調

  • 好きだった音楽の高音が耳に刺さり、再生ボタンを押せなくなる
  • 1時間が3時間に感じるのに、ひたすらベッドで時間だけが過ぎる
  • 「自分はダメだ」の思考ループから抜け出せない
  • 「死」を具体的に考え始める

月の半分すら働けなくなった頃、「これは普通の疲れじゃない」と悟りました。


診断——電話が怖いからネット予約

「2週間以上、憂うつが晴れないなら受診を」と知り、電話嫌いの私はネット予約できる心療内科を検索。問診の結果はうつ病。やっぱりなと納得しつつ、がっくり肩を落としたのを覚えています。

  • まずは2か月の休職を勧められる
  • 抗うつ薬はお酒NGと聞き、受診前夜に“最後の晩酌”をキメる
  • 当初処方されたレクサプロで「世界がやたらまぶしい」副作用→主治医がニコニコしながら「レアケースですね!」とトリンテリックスに変更

医師に「軽症とはいえ治療は必要」と言われ、少し安心した反面、“休む罪悪感”との戦いが始まりました。


軽症でもツラい——休職6か月で学んだこと

  1. しんどさは数字で測れない
    入院レベルでなくても、生活の歯車がかみ合わなくなるだけで十分ツラいです。
  2. 「甘え」の二文字が自分を追い詰める
    医師の診断書があっても、社会や自分の中に根強く残る「働いて当たり前」思考が首を絞めます。
  3. 他人と比べるほど泥沼
    重症の人の記事を読み「自分より大変な人がいる」と言い聞かせても、苦しさは軽くなりませんでした。
  4. 適切なヘルプは早いほど良い
    受診へのハードルは高くても、後回しにしたツケは自分で払うしかありません。

とはいえ——今はかなり安定しています

薬の調整と定期通院、そして少しずつのリハビリ出社を経て、今はフルタイム勤務に復帰できています。「軽症なりの苦しみ」を経験したおかげで、ストレス信号に気づくスピードが上がりました。

  • 眠れない夜が続いたら、いったん立ち止まる
  • ニュースは時間を決めて見る
  • 気が向いたときにだけ趣味を楽しむ
  • 相談相手がいないと感じたら、カウンセリングを遠慮なく予約する

完璧な予防線ではありませんが、「爆発する前にバルブを開ける」意識は確実に養えたと思います。


というわけで——軽症でも声を上げていい

この記事を書いた理由は、「軽症=大したことない」という誤解を少しでも緩めたかったからです。休職6か月は長いけれど、長期入院に比べれば短いかもしれません。それでも本人にとっては人生の重要な6か月。軽症でも治療と休息が必要で、苦しみは“甘え”ではないのだと伝われば幸いです。

もし今、似たような症状で迷っている方がいたら――
どうか遠慮なく専門家に相談してください。
あなたのしんどさは、比べるものではなく、あなた自身にとってリアルなものですから。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!