Entity Framework Core(以下EF Core)は、C#を使ったアプリケーション開発で主に利用されるORM(Object-Relational Mapping)フレームワークです。通常、C#を使ってDbContextやエンティティクラスを自動生成しますが、VB.NETユーザーの方でも同様にDbContextを自動生成することができます。
今回は、EF CoreでVB.NETをサポートするための「EntityFrameworkCore.VisualBasic」ライブラリを活用する方法についてご紹介します。
1. EntityFrameworkCore.VisualBasicとは?
EntityFrameworkCore.VisualBasicは、EF CoreでVB.NETをサポートするための拡張ライブラリです。これを利用することで、VB.NET環境でもC#と同様に、データベースのスキーマからDbContextやエンティティクラスを自動生成できるようになります。
通常、EF Coreではdotnet efコマンドを使用してデータベースからコードを生成しますが、このライブラリをインストールすることで、VB.NETプロジェクトにおいても同じ操作が可能になります。
2. 環境準備
VB.NETプロジェクトでEF Coreを使うためには、いくつかの前提条件を整える必要があります。以下の手順に従って、プロジェクトを準備しましょう。
必要なパッケージのインストール
EF Coreのパッケージをインストール
プロジェクトのパッケージマネージャーコンソール(Tools > NuGet Package Manager > Package Manager Console)で以下のコマンドを実行します。
Install-Package Microsoft.EntityFrameworkCore Install-Package Microsoft.EntityFrameworkCore.SqlServer # SQL Serverを使う場合 Install-Package Microsoft.EntityFrameworkCore.Tools
EntityFrameworkCore.VisualBasicをインストール
VB.NET用のEF Core拡張ライブラリを追加します。
Install-Package EntityFrameworkCore.VisualBasic
これで、VB.NET環境でEF Coreを利用する準備が整いました。
3. DbContextの自動生成手順
次に、DbContextやエンティティクラスを自動生成する手順を解説します。ここでは、SQL Serverデータベースを使用した例を取り上げます。
1. データベース接続情報の設定
最初に、データベース接続情報をappsettings.jsonに追加します。例えば、以下のようにSQL Serverの接続文字列を設定します。
{
"ConnectionStrings": {
"DefaultConnection": "Server=YOUR_SERVER;Database=YOUR_DATABASE;Trusted_Connection=True;"
}
}YOUR_SERVERやYOUR_DATABASEの部分は、実際のサーバー名やデータベース名に置き換えてください。
2. DbContextとエンティティの自動生成
パッケージマネージャーコンソールで、Scaffold-DbContextコマンドを使ってデータベースからコードを生成します。
Scaffold-DbContext "Server=YOUR_SERVER;Database=YOUR_DATABASE;Trusted_Connection=True;" Microsoft.EntityFrameworkCore.SqlServer -OutputDir Models -ContextDir Contexts -Context YourDbContextName -Language VB
コマンド解説
Scaffold-DbContext: EF Coreが提供するコマンドで、データベースからDbContextとエンティティを生成します。-OutputDir: 自動生成されるエンティティクラスを保存するディレクトリ(ここではModelsフォルダ)。-ContextDir: 自動生成されるDbContextクラスを保存するディレクトリ(ここではContextsフォルダ)。-Context: 生成されるDbContextクラスの名前(ここではYourDbContextNameとしています)。-Language VB: VB.NET用のコードを生成することを指定します。
コマンドを実行すると、指定したディレクトリにVB.NET形式のDbContextおよびエンティティクラスが自動生成されます。
3. 生成されたコードの確認
自動生成が完了すると、指定したディレクトリにYourDbContextName.vbやエンティティクラスが作成されます。これらのクラスはVB.NETコードで記述されており、EF Coreを使用したデータベース操作がすぐに行えるようになっています。
例えば、以下のようなDbContextクラスが生成されるはずです。
Public Partial Class YourDbContextName
Inherits DbContext
Public Sub New()
End Sub
Public Sub New(options As DbContextOptions(Of YourDbContextName))
MyBase.New(options)
End Sub
' 各エンティティをDbSetとして定義
Public Overridable Property Products As DbSet(Of Product)
Public Overridable Property Categories As DbSet(Of Category)
Protected Overrides Sub OnModelCreating(modelBuilder As ModelBuilder)
MyBase.OnModelCreating(modelBuilder)
End Sub
End Class
これにより、VB.NETでDbContextやエンティティの管理ができるようになります。
4. 最後に
EntityFrameworkCore.VisualBasicを活用することで、VB.NETプロジェクトでもC#と同じようにEF Coreを利用してデータベースのスキーマからコードを自動生成できるようになります。これにより、VB.NET開発者は、より効率的にデータベース操作を行うことができ、C#に依存せずにORMの恩恵を受けることが可能です。
この記事で紹介した手順を参考に、ぜひあなたのVB.NETプロジェクトでもEF Coreを導入してみてください。
